新潟大学の生物は、2年連続で大問1が「遺伝情報」です
まず事実から。令和5・6年度の2年間、新潟大学の生物は大問1に必ず遺伝情報の分野が配置されています。しかも2年とも、教科書の用語を暗記するだけでは満点が取れない構成になっています。
| 年度 | 大問1のテーマ | 問われた形式 |
|---|---|---|
| 令和5年度 | ヒトのゲノム・遺伝子座・PCR法による個人識別 | 空所補充/論述(40字)/計算(指数) |
| 令和6年度 | DNA・RNAの構造・セントラルドグマ・ゲノム編集・PCR検査 | 図表選択/用語(酵素名・概念名) |
初めて見る模式図への当てはめ、字数指定の論述、指数を使った計算——暗記した知識の外側にある力が、2年とも問われています。
「暗記した用語」と「初めて見る文脈で使う力」の違い
生物は暗記科目だと思われがちです。実際、遺伝子座・対立遺伝子・逆転写酵素といった用語そのものは、覚えていなければ話になりません。しかし新潟大学の大問1を2年分見ると、用語を覚えているだけでは足りない設問が必ず混ざっています。
| 場面 | 求められる力 | 用語暗記だけで足りるか |
|---|---|---|
| 教科書通りの図・用語を答える | 定義の正確な暗記 | 足りる |
| 初めて見る模式図に用語を当てはめる | 暗記した知識を、見たことのない配置の図に対応させる力 | 足りない |
| 現象を自分の言葉で説明する(論述) | 仕組みを理解し、指定字数で言語化する力 | 足りない |
| 増幅倍率など数値を求める(計算) | 生物の知識ではなく、指数計算・桁感覚 | 足りない |
実際に出た問題を、答案を書いて見せます
① 模式図・用語(令和6年度・生物 大問1)
② PCR法・95℃で2本鎖が1本鎖になる理由(令和5年度・生物 大問1)
③ 30サイクルで何倍に増幅されるか(令和5年度・生物 大問1)
「暗記で対応できる設問」と「計算・考察が必要な設問」の見分け方
2年分の大問1を見比べると、設問の形式によって必要な準備がはっきり分かれることが見えてきます。
| 出題形式 | 具体例 | 必要な力 |
|---|---|---|
| 図表選択・用語 | ヌクレオチドの模式図選択、逆転写酵素、セントラルドグマの名称 | 教科書用語の正確な理解と、初めて見る図への当てはめ |
| 空所補充 | 染色体・遺伝子座・対立遺伝子などの穴埋め | 定義の正確な暗記 |
| 論述(メカニズム説明) | 95℃で2本鎖が1本鎖になる理由を40字で | 現象を自分の言葉にする力(暗記だけでは書けない) |
| 計算 | 30サイクルで何倍に増幅されるか | 指数計算・桁感覚(生物の知識ではなく数学的な思考) |
生物でよくある失敗5つ
| やりがちな失敗 | なぜ失点するか |
|---|---|
| 逆転写酵素とDNAポリメラーゼを混同する | 「RNAからDNA」なのか「DNAからDNA」なのか、酵素の働く方向を逆に覚えている |
| PCRの説明を「熱で変性するから」とだけ書いて終わる | 水素結合という言葉が抜け、部分点止まりになる |
| 2³⁰を「30×2=60倍」と誤って計算する | 指数と掛け算を混同し、桁が全く違う答えになる |
| セントラルドグマの向きを逆に書く | DNA→RNA→タンパク質という一方向性を、逆順に覚えている |
| 時事の話題(ゲノム編集・PCR検査)と生物学的な原理を結び付けられない | ニュースで見た言葉と、教科書の仕組みが頭の中でつながっていない |
では、この力をどうやってつけるのか
なぜ、そう簡単ではないのか:教科書の図をそのまま覚えるだけでは、配置や言い回しを変えて出題された瞬間に対応できません。令和6年度はまさにこの力を問う設問でした。
身につけるために要ること:教科書とは違う配置の模式図・資料集の図を使った演習と、当てはめが正しいかの確認。
なぜ、そう簡単ではないのか:40字論述のように、仕組みを理解した上で言葉にまとめる力は、用語の暗記だけでは身につきません。何を書けば満点になるかの基準も自分では分かりにくい部分です。
身につけるために要ること:実際に出た論述問題での演習と、書いた答案を見てもらうこと。
なぜ、そう簡単ではないのか:生物の設問なのに、失点の原因が数学的な感覚不足であることが少なくありません。2³⁰のような計算に慣れていないと、本番で焦って誤答してしまいます。
身につけるために要ること:計算問題だけを集めた演習と、桁数の近似(2¹⁰≒10³など)に慣れること。
具体的に、何を・どの順番でやるか
| 段階 | やること | 目安 | ここで手を抜くと |
|---|---|---|---|
| STEP1 | 教科書用語の暗記(DNA・RNAの構造、遺伝情報の流れ、代表的な酵素名) | 高2冬〜高3春 | 土台がないと、応用問題にまったく対応できない |
| STEP2 | 資料・図表を使った演習(初めて見る図に用語を当てはめる練習) | 夏 | 暗記止まりで、初見の図に対応できない |
| STEP3 | 字数指定の論述演習 | 夏〜秋 | 部分点止まりが続き、満点の答案が書けない |
| STEP4 | 計算問題(指数・桁感覚)の演習 | 秋 | 生物の得点が数学的なミスで落ちる |
| STEP5 | 過去問演習(時事融合型の初見問題への対応) | 直前期 | 本番で知らないテーマに固まってしまう |
時期別ロードマップ
- 高2冬〜高3春:教科書用語の全範囲暗記
└ DNA・RNAの構造、遺伝情報の流れ、代表的な酵素名まで抜けなく仕上げる - 高3夏:資料読解・図表問題の演習
└ 初めて見る模式図に、暗記した用語を当てはめる練習を繰り返す - 高3夏〜秋:論述問題の演習
└ 字数指定のある論述で、現象を自分の言葉にする力を鍛える - 高3秋:計算問題の演習
└ 指数計算・桁感覚など、生物の知識以外の力を仕上げる - 直前期:過去問演習
└ 時事融合型の初見問題に対応する場慣れをする
よくある質問
Q. 生物の大問1は毎年遺伝情報が出ますか?
A. 令和5・6年度の2年とも、大問1に遺伝情報の分野が配置されています。テーマはヒトのゲノムからDNA・RNAの構造まで年によって変わりますが、大問1が遺伝情報という構成が続いています。
Q. 生物は暗記だけで対応できますか?
A. 空所補充や用語を問う設問は暗記で対応できますが、論述や計算問題は暗記だけでは対応できません。2年分の大問1にも、暗記だけでは書けない設問が必ず混ざっています。
Q. PCRの原理はどこまで理解すればいいですか?
A. 加熱によって水素結合が切れて1本鎖になる仕組みや、サイクルごとに2倍に増える仕組みなど、自分の言葉で説明できるレベルまで理解しておく必要があります。用語を知っているだけでは論述に対応できません。
Q. 2の30乗のような計算はどう対策すればいいですか?
A. 2¹⁰≒10³という近似を使って桁数の感覚をつかむ練習が効果的です。生物の知識ではなく、指数計算に慣れているかどうかが問われています。
Q. 40字論述はどのくらいの練習が必要ですか?
A. 字数指定のある論述は、書いた答案を第三者に見てもらわないと、何が加点され何が抜けているかが自分では判断しにくい分野です。実際に出た問題を使った演習を重ねる必要があります。
Q. 時事問題(ゲノム編集やコロナ)はどう対策すればいいですか?
A. 時事の話題そのものを覚えるのではなく、その背景にある生物学的な原理(PCR法の仕組みなど)を理解しておくことが対策になります。原理が分かっていれば、初めて見るテーマにも対応できます。
Q. 生物は暗記科目だと思っていましたが、違いますか?
A. 用語の暗記は前提として必要ですが、それだけでは新潟大学の大問1には対応できません。初めて見る図への当てはめ、論述、計算まで含めて対策する必要があります。
Q. いつから対策を始めればいいですか?
A. 高2の冬から高3の春にかけて教科書用語を固め、夏に図表問題と論述、秋に計算問題、直前期に過去問演習という流れが効果的です。
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独学・集団授業・個別指導では、なぜ難しいのか
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