新潟大学の化学 大問1は、令和5年度も“理論・無機”でした
まず事実から。新潟大学の化学は大問1が理論・無機、大問2が有機・高分子という構成が続いています。令和5年度の大問1は、周期表14族の非金属元素であるケイ素と炭素をテーマにした無機化学の問題でした。
| 出題された内容 | 問われたポイント |
|---|---|
| ケイ素単結晶の半導体としての性質 | 太陽電池・集積回路への利用と結びつけて理解しているか |
| ガラス・アモルファス(非晶質)・シリカゲルの生成 | 二酸化ケイ素がどのような過程を経て変化するか |
| 二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムの反応 | 反応が起きる理由(酸性酸化物としての性質)を理解しているか |
| 炭素の共有結合と同素体(ダイヤモンド・黒鉛・フラーレン・カーボンナノチューブ) | 結合の違いが性質の違いにどうつながるか |
空所補充は「丸暗記」では通用しない
無機化学の空所補充は、一問一答形式の暗記カードとは根本的に別物です。「半導体」「非晶質」「共有結合」——こうした単語を単独で覚えているだけでは、文脈の中でどの語が入るかを判断できません。
ケイ素という素材が、なぜ太陽電池や集積回路に使われるのか。二酸化ケイ素が、なぜ融解・急冷を経てガラスになるのか。この「なぜ」の部分まで理解して初めて、文中の空所を自信を持って埋められます。バラバラに覚えた知識は、初めて見る文章構成の中では機能しません。
丸暗記でつまずくパターン ↔ つながりで整理する解き方
| 丸暗記でつまずくパターン | つながりで整理する解き方 |
|---|---|
| 「半導体」という言葉だけを覚えている | ケイ素→太陽電池・集積回路→半導体、という理由の流れごと覚える |
| ガラスを「無色透明な固体」とだけ覚えている | 二酸化ケイ素を融解し急冷→分子配列がバラバラになる→非晶質、という生成過程で覚える |
| 二酸化ケイ素とNaOHの反応式を数字として丸暗記 | 二酸化ケイ素が酸性酸化物であることから、塩基と反応する性質を導く |
| 同素体の名前(ダイヤモンド・黒鉛・フラーレン・カーボンナノチューブ)を単語カードで暗記 | 結合のしかたの違いから、硬さ・電気伝導性の違いまで結びつける |
| 空所補充を「単語当てゲーム」として解こうとする | 前後の文脈から、どの知識のつながりが問われているかを読み取る |
実際に出た問題を、文脈の中で解いて見せます
① ケイ素編(半導体・ガラス・シリカゲル)
② 炭素編(共有結合と同素体)
無機化学でよくある失敗5つ
| やりがちな失敗 | なぜ失点するか |
|---|---|
| 用語を単独で覚え、前後の文脈を読まずに空所を埋めようとする | 同じ単語でも文脈によって適切な語が変わり、パターン暗記では対応できない |
| ケイ素と炭素を別々の単元として覚え、対比して整理していない | 同じ14族として対比的に出題されると、片方の知識だけでは埋まらない空所が出る |
| 反応式は覚えているが、なぜその反応が起きるかを説明できない | 酸性酸化物・塩基性酸化物といった性質の理解が抜けていると、初見の文脈に対応できない |
| 同素体の名前だけ暗記し、性質の違いを説明できない | 「なぜ黒鉛は電気を通すか」のような理由を問う設問に対応できない |
| 無機分野は出にくいと考えて後回しにする | 大問1がまるごと無機になる年もあり、範囲を絞ると大きく失点する |
では、この「つながりで覚える力」をどうやって身につけるか
なぜ、そう簡単ではないのか:無機化学は単元ごとに独立して勉強しがちで、同じ族の元素を横断して比較する機会がないまま覚えてしまうことが多いです。
身につけるために要ること:同じ族の元素を並べて、共通点と相違点をノートに整理し、なぜ似ているのか・なぜ違うのかまで言葉にする練習。
なぜ、そう簡単ではないのか:半導体になる理由、非晶質になる理由、酸性酸化物として反応する理由——暗記だけでは「なぜ」の部分が抜け落ち、初見の文脈で崩れます。
身につけるために要ること:一つひとつの現象について、理由まで書いて説明する練習と、その説明が正しいかを確認してもらうこと。
なぜ、そう簡単ではないのか:一問一答形式の暗記だけでは、文章の中で前後関係を読みながら判断する力は身につきません。
身につけるために要ること:実際に文脈の中で空所を埋める形式の演習を重ね、なぜその語が正解なのかを確認する作業。
具体的に、何を・どの順番でやるか
| 段階 | やること | 目安 | ここで手を抜くと |
|---|---|---|---|
| STEP1 | 周期表の族ごとに性質を横断的に整理する(14族ならSiとCを並べて比較) | 高2冬〜高3春 | 個別の知識がバラバラのまま、つながりが作れない |
| STEP2 | 現象が起きる理由を言葉で説明する練習(半導体・非晶質・共有結合など) | 高3夏前 | 用語は書けても文脈依存の空所で崩れる |
| STEP3 | 空所補充形式の問題を、文脈から語を推測する練習として繰り返す | 高3夏 | 単語当てクイズのまま対策が止まる |
| STEP4 | 書いた説明を第三者に見てもらい、つながりが伝わるか確認する | 高3秋 | 自分では説明の抜けに気づけない |
| STEP5 | 過去問の大問1(理論・無機)だけを集めて時間を計って演習する | 直前期 | 本番で知識の抜けに気づき、動揺する |
時期別ロードマップ
- 高2冬
└ 周期表とその族の性質をノートにまとめ、横断的な理解の土台を作る - 高3春〜夏前
└ 半導体・非晶質・共有結合など、現象が起きる理由を自分の言葉で説明できるようにする - 高3夏
└ 空所補充形式の演習を重ね、文脈から語を推測する感覚を身につける - 高3秋
└ 書いた説明・反応式の理由づけを第三者に確認してもらう - 直前期
└ 大問1(理論・無機)だけを抽出して時間を計って演習し、抜けを最終確認する
その先で必要なこと
| つけたい力 | 本当に必要なこと |
|---|---|
| 族ごとの性質のつながり | 横断的に整理したノートを、抜けがないか確認してもらうこと |
| 現象の理由づけ | 書いた説明を見てもらうこと(説明の抜けは自分では判定しにくい) |
| 文脈からの語の推測 | 空所補充演習の答え合わせを、理由まで一緒に確認すること |
| 継続 | 毎週の確認テストと管理(無機化学は範囲が広く、抜けが放置されやすい) |
参考書は書店で買えます。でも、あなたが整理したつながりのどこに穴があるかを指摘してくれる人は、書店には売っていません。
よくある質問
Q. 令和5年度の化学 大問1はどんな問題でしたか?
A. 周期表14族のケイ素と炭素をテーマにした無機化学の問題で、空所補充(①〜⑧)を通じて半導体・非晶質・共有結合などの知識のつながりが問われました。
Q. 空所補充はどこが難しいのですか?
A. 単語を丸暗記しているだけでは、文脈の中でどの語が入るかを判断できません。ケイ素→半導体→太陽電池、二酸化ケイ素→ガラス→非晶質という知識のつながりができているかが試されるためです。
Q. ケイ素と炭素、両方きちんと勉強する必要がありますか?
A. はい。同じ14族の元素として対比的に出題される傾向があり、片方だけ仕上げても文脈依存の空所補充には対応できません。
Q. 同素体はどこまで覚えればいいですか?
A. 名前を覚えるだけでなく、結合の違いが硬さや電気伝導性の違いにどうつながるかまで説明できる状態が必要です。
Q. 無機化学は暗記量が多くて対策が大変です。何から始めればいいですか?
A. 単元別に用語を覚えるのではなく、周期表の族ごとに性質をつなげて整理することから始めるのが効果的です。
Q. 反応式は書けるのに、空所補充になると間違えます。なぜですか?
A. 反応式を覚えていても、その反応が起きる理由(酸性酸化物である、など)を説明できないと、文脈の中の空所には対応できないためです。
Q. 無機化学の対策はいつから始めるべきですか?
A. 高2の冬から周期表の族ごとの整理を始め、高3の夏までに空所補充形式の演習を重ねるのが理想です。
Q. 独学で「つながり」ができているかを確認する方法はありますか?
A. 自分で書いた説明を客観的に評価するのは難しく、覚えた気になっていても文脈依存の問題で崩れることに気づきにくいというのが実情です。
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