新潟大学の物理は、3年連続で大問1が「力学」です
まず事実から。令和5・6・7年度の3年間、新潟大学の物理は大問1に必ず力学が配置されています。しかも3年とも、単純な公式当てはめでは終わらない構成です。
| 年度 | 大問1のテーマ | 問われた形式 |
|---|---|---|
| 令和5年度 | 滑車・浮力・運動方程式(2物体) | 運動方程式を書け/仕事とエネルギー |
| 令和6年度 | ばね射出機・円弧面・放物運動 | 証明が2問連続(式を示せ) |
| 令和7年度 | 斜面上の物体と動く台 | 力の図示/運動量保存+エネルギー保存 |
力の図示、運動方程式の記述、指定の式を示す証明——答えの数値以外の部分が、毎年問われています。
力学の答案に必要な「4つの力」
力学で点を落とす人の多くは、公式を思い出すことに時間を使いすぎています。実は、公式より先に必要な力が4つあります。
| 力 | 中身 | 抜けるとどうなるか |
|---|---|---|
| ① 図示する力 | 物体にはたらく力を、向きも含めて図に描き込む | 最初の一歩で崩れる(最頻出の失点原因) |
| ② 見抜く力 | 運動方程式・力学的エネルギー保存・運動量保存、どれを使うか判断する | 式は合っているのに手段を間違え、計算が破綻する |
| ③ 文字式で計算をやり切る力 | 数値がなく文字だけの計算を最後まで進める | 途中でミスしても、答えの数値がないため自分で気づけない |
| ④ 過程を書く力 | 「計算過程を示せ」「〜を示せ」に、筋道立てて答える | 3年とも過程が採点対象。答えだけでは大きく減点される |
実際に出た力学問題を、答案を書いて見せます
① 運動方程式(令和5年度・滑車と浮力)
② 証明(令和6年度・ばね射出機)
③ 力の図示(令和7年度・斜面上の物体と動く台)
「どの保存則を使うか」の見分け方
3問すべてに共通していたのは、最初にどの法則・保存則を選ぶかで、その後の計算量がまったく変わるということでした。よく出る判断基準を表にします。
| 状況 | 使う法則 |
|---|---|
| 2物体が糸や接触でつながっている | 運動方程式(それぞれの物体で別々に立てる) |
| 摩擦や空気抵抗がない区間の速さ・高さを問われている | 力学的エネルギー保存則 |
| 衝突・分裂・台が動くなど、内部で力を及ぼし合う場面 | 運動量保存則 |
| 摩擦がする仕事が絡む | エネルギー保存に「摩擦力がした仕事」を引いて立てる |
| 「〜を示せ」で答えの式が与えられている | 使う法則を先に宣言してから式変形(証明は道筋がすべて) |
力学でよくある失敗5つ
| やりがちな失敗 | なぜ失点するか |
|---|---|
| 力の図を描かずに式を立て始める | はたらく力を1つ拾い忘れても、自分では気づけない |
| 垂直抗力の向きを「鉛直上向き」と決めつける | 垂直抗力は斜面に垂直。水平面以外では鉛直と一致しない |
| 証明で答えの式に合わせて逆算する | 式変形の道筋が不自然になり、証明として認められない |
| 「計算過程を示せ」で結果だけ書く | 3年とも過程が採点対象。答えが合っていても大きく減点される |
| 2物体の問題で、片方の力を混ぜて1つの式にする | 運動方程式は物体ごとに別々に立てるのが原則 |
では、この力をどうやってつけるのか
なぜ、そう簡単ではないのか:力・速度・電流の向きを図示できないと、そもそも式を立てられません。令和7年度は計算なしでこの力だけを問う設問すらありました。
身につけるために要ること:実際に出た設定を使って図を描く練習。そして描いた図が正しいかを確認してもらうこと。
なぜ、そう簡単ではないのか:運動方程式・エネルギー保存・運動量保存、どれを使うかで解き方の速さがまったく変わります。単元別の演習だけでは、この「切り替え」の判断力は身につきません。
身につけるために要ること:複数単元が混ざった問題での演習と、選んだ法則が正しいかの確認。
なぜ、そう簡単ではないのか:3年とも計算過程や証明が採点対象でした。答えが合っていても、過程の説明が抜けていると点が来ません。これは自分では気づきにくい弱点です。
身につけるために要ること:書いた答案を見てもらうこと。「初めて読む人が納得できるか」を基準に指摘してもらう必要があります。
具体的に、何を・どの順番でやるか
| 段階 | やること | 目安 | ここで手を抜くと |
|---|---|---|---|
| STEP1 | 力の図示の練習(重力・垂直抗力・摩擦・張力・浮力) | 高3の夏まで | 式を立てる前の段階で崩れる |
| STEP2 | 法則の見分け方を表で覚える | 夏 | 遠回りな解き方を選び続ける |
| STEP3 | 証明問題だけを集めて練習 | 夏〜秋 | 答えは合っても過程で減点され続ける |
| STEP4 | 書いた答案を添削してもらう | 秋〜直前 | 論理の飛躍や図の誤りに気づけないまま本番へ |
| STEP5 | 過去問の大問1だけを集めて時間を計って演習 | 直前期 | 本番で時間配分を崩す |
その先で必要なこと
| つけたい力 | 本当に必要なこと |
|---|---|
| 力の図示 | 描いた図が正しいかの確認(向きの誤りは自分では見えない) |
| 法則の見分け | 複数単元が混ざった問題での演習と振り返り |
| 証明・計算過程 | 書いた答案を見てもらうこと(過程の抜けは自分では判定しにくい) |
| 継続 | 毎週の確認テストと管理(力学は演習量がそのまま得点に直結する) |
参考書は書店で買えます。でも、あなたが描いた力の図や書いた証明を見て「ここが違う」と教えてくれる人は、書店には売っていません。
よくある質問
Q. 力学は毎年出ますか?
A. 令和5・6・7年度の3年とも、大問1に力学が配置されています。テーマは滑車・ばね射出機・動く台と毎年変わりますが、大問1が力学という構成は変わっていません。
Q. 力学で一番多い失点は何ですか?
A. 力の図示を省略して式を立て始めることです。はたらく力を1つ拾い忘れても、図がないと自分では気づけません。
Q. 垂直抗力はいつも真上向きですか?
A. いいえ。垂直抗力は接触面に垂直な向きです。斜面上では鉛直上向きにはなりません。この勘違いが典型的な誤答パターンです。
Q. 物理の証明はどう書けばいいですか?
A. 答えの式は問題文に与えられていることが多いです。まず使う法則を宣言し、そこから式変形の途中をすべて書いて、指定の式に至るまでを示します。
Q. 計算過程を示せと言われたら何を書けばいいですか?
A. 立てた式から答えに至るまでの式変形を、省略せずに順番に書きます。答えの数値だけでは、過程の配点を失います。
Q. 力学はどう練習すればいいですか?
A. 力の図示→法則の見分け→証明・計算過程の順で練習し、最後に書いた答案を第三者に見てもらう流れが効果的です。図の誤りや過程の抜けは自分では気づけないためです。
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