まず、学部によって解く問題が違います
新潟大学の国語(前期日程)は、令和5・6・7年度の3年間、学部ごとの解答パターンが一字も変わっていません。字数指定記述の話に入る前に、まずここを確認しておきます。
| 学部 | 解く問題 | 解答用紙 | 古文・漢文 |
|---|---|---|---|
| 人文学部・教育学部 | 第一問・第二問・第三問 | 3枚 | 必要(古文・漢文の記述あり) |
| 経済科学部・医学部・創生学部 | 第一問・第四問 | 2枚 | 不要(二次では出題対象外) |
字数によって、答案の組み立て方はこう変わります
新潟大学の第一問は、20字前後の短い説明から150字の長い説明まで、1つの大問の中に複数の字数が混在します。多くの受験生は「字数が増えれば、同じ内容を長く書けばいい」と考えますが、これは誤りです。字数が増えるということは、詰め込む要素の数が増えるということです。
| 字数の目安 | 必要な要素数 | 答案の性格 |
|---|---|---|
| 70〜80字 | 要素1〜2個 | 1つの内容を、言い換えて簡潔に言い切る |
| 90〜100字 | 要素2〜3個 | 説明に理由づけや対比が1段加わる |
| 120字 | 要素3個前後 | 結論だけでなく、そこに至る根拠まで含める |
| 150字 | 要素3〜4個 | 条件が付くことが多く、複数の観点を同時に満たす必要がある |
実際に出た記述問題を、答案の骨子まで組み立てて見せます
令和5・6年度の第一問は、どちらも人文系の学術評論からの出題でした。専門用語には注釈がつくため、知識量そのものは問われません。以下、実際に出た8問の記述を、70字から150字まで順に見ていきます。
令和6年度 第一問|池上俊一『歴史学の作法』
出典は新潟大学 令和6年度入学試験問題 国語 第一問。テーマは「歴史叙述」と「時間」の関係で、「共時態」「通時態」「ヒエラルキー」「モノグラフ」といった専門語には注が付きます。漢字10問に加え、90字が3問、120字が1問という構成です。
令和5年度 第一問|荒谷大輔『使える哲学』
出典は新潟大学 令和5年度入学試験問題 国語 第一問。テーマは、科学の「正しさ」が経済的利益に引きずられていく構造で、トーマス・クーンの「パズル解き」という科学観から、AIによる作業者動作解析という現代的な事例まで扱われます。漢字10問に加え、80字・100字・70字・150字と4種類の字数が並ぶ年でした。
字数と要素の対応、もう一度整理します
| 字数 | この記事で扱った設問 | 要素数 | つまずきやすい条件 |
|---|---|---|---|
| 70字 | 知の閉塞とは(R5) | 1〜2個 | 要素を欲張ると説明が浅くなる |
| 80字 | パズル解き(R5) | 1〜2個 | 指定語彙を使う条件を見落としやすい |
| 90字 | 人生の歴史的思考/比喩の説明/理想的編年史(R6・3問) | 2〜3個 | 比喩をそのまま繰り返す誤りが起きやすい |
| 100字 | 実験の失敗と進歩(R5) | 2〜3個 | 理由の片方だけで終わりやすい |
| 120字 | オリジナルが立ち上がる(R6) | 3個前後 | 層をつなぐ言葉が抜けて飛躍しやすい |
| 150字 | 知の閉塞の強化・条件2つ(R5) | 3〜4個 | 条件のどちらか一方しか満たさない |
国語の記述でよくある失敗5つ
| やりがちな失敗 | なぜ失点するか |
|---|---|
| 傍線部の言葉をそのまま答案に使う | 言い換えていないため、内容を説明したことにならない |
| 比喩表現を直訳する(「川」「航空写真」等をそのまま書く) | 比喩が指す中身を自分の言葉に置き換えられていない |
| 字数に対して要素数が合っていない | 短い字数に詰め込み過ぎて説明不足、長い字数を1要素で水増しして不自然になる |
| 設問の条件を見落とす(「〜を明らかにしながら」等) | 条件は採点項目そのもの。満たさないと大きく減点される |
| 本文の言葉を抜き出すだけで終わる | 要約になっておらず、自分の言葉で再構成できていない |
では、この力をどうやってつけるのか
なぜ、そう簡単ではないのか:比喩をそのまま答案に書いてしまう誤りは、練習しないと自分では気づけません。令和6年度は90字の記述がまさにこの力を問う設問でした。
身につけるために要ること:実際に出た比喩表現を使って言い換える練習と、言い換えが本当に元の表現の中身を捉えているかの確認。
なぜ、そう簡単ではないのか:70字と150字では、詰め込むべき要素の数がまったく違います。この感覚は、字数の違う記述を何問も書いて初めて身につきます。
身につけるために要ること:字数ごとに書いた答案を比べて、要素数が適切かを見てもらうこと。
なぜ、そう簡単ではないのか:「〜を用いながら」「〜を明らかにしながら」といった条件は、見落としても答案自体は一見完成して見えてしまいます。だからこそ自分では気づきにくい弱点です。
身につけるために要ること:書いた答案が条件をすべて満たしているかの確認を、設問ごとに受けること。
具体的に、何を・どの順番でやるか
| 段階 | やること | 目安 | ここで手を抜くと |
|---|---|---|---|
| STEP1 | まず志望学部の解答パターンを確認(古文・漢文の要否) | 早い時期に1回 | 出ない範囲に時間を使い続ける |
| STEP2 | 短い字数(20〜70字)の言い換え練習 | 高3の夏まで | 要素を詰め込む癖がついたまま長い字数に進んでしまう |
| STEP3 | 比喩・抽象表現の言い換え練習 | 夏 | 比喩をそのまま書く誤りが本番まで残る |
| STEP4 | 条件付きの記述(90〜150字)を集中的に練習 | 夏〜秋 | 条件を見落としたまま答案を仕上げてしまう |
| STEP5 | 書いた答案を添削してもらう | 秋〜直前 | 要素の抜けや条件未達に自分で気づけないまま本番へ |
| STEP6 | 過去問の第一問だけを時間を計って通し演習 | 直前期 | 本番で時間配分を崩す |
時期別のロードマップ
| 時期 | この時期にやること |
|---|---|
| 高2冬〜高3春 | 漢字10問の仕上げと、志望学部の解答パターンの確認 |
| 高3夏前 | 20〜70字の短い記述で、言い換えと要素の絞り込みに慣れる |
| 高3夏 | 比喩・抽象表現の言い換え練習と、90〜100字の記述演習 |
| 高3秋 | 120〜150字の条件付き記述に取り組み、答案を第三者に見てもらう |
| 直前期 | 過去問の第一問を時間を計って通しで解き、時間配分を確認する |
その先で必要なこと
| つけたい力 | 本当に必要なこと |
|---|---|
| 比喩・抽象表現の言い換え | 書いた言い換えが元の表現を捉えているかの確認(ずれは自分では気づきにくい) |
| 字数と要素数の対応 | 字数の違う答案を並べて見てもらうこと(詰め込み過ぎ・水増しの判定は第三者の目が要る) |
| 条件の充足 | 設問ごとに条件を満たしているかの確認(条件未達は答案の見た目では分からない) |
| 継続 | 毎週の確認テストと管理(記述は書く量がそのまま力に直結する) |
参考書は書店で買えます。でも、あなたが書いた答案を見て「この言い換えはずれている」「条件が1つ抜けている」と教えてくれる人は、書店には売っていません。
よくある質問
Q. 新潟大学の国語で、字数指定の記述はどこから出ますか?
A. 全学部が解く第一問から出ます。人文学部・教育学部はこれに加えて古文(第二問)・漢文(第三問)も解きますが、字数指定の記述は第一問が中心です。
Q. 70字と150字では、対策の仕方を変えるべきですか?
A. はい。70字は要素1〜2個を簡潔に言い切る練習、150字は要素3〜4個を漏れなく詰め込む練習と、意識するポイントが異なります。同じ書き方の延長では対応できません。
Q. 比喩の説明問題は、どう書けば減点されませんか?
A. 比喩の言葉(「川」「航空写真」など)をそのまま答案に書かないことが最低条件です。その比喩が本文の文脈で何を指しているかを、自分の言葉に置き換えて説明する必要があります。
Q. 条件付きの設問とは何ですか?
A. 「〜を用いながら」「〜を明らかにしながら」のように、答案に含めるべき内容が設問文で指定されている問題です。条件そのものが採点項目になるため、満たさないと大きく減点されます。
Q. 漢字10問の対策も必要ですか?
A. はい。令和5・6・7年度とも、傍線部のカタカナを漢字に改める問題が10問固定で出ています。確実な得点源なので、記述の練習と並行して仕上げてください。
Q. 経済科学部・医学部・創生学部は、この記事の内容だけで対応できますか?
A. はい。この3学部は第一問・第四問のみで、古文・漢文の記述はありません。この記事で扱った字数指定記述の考え方は、第一問・第四問どちらにも共通して使えます。
Q. 記述の練習は何から始めればいいですか?
A. まず20〜70字の短い言い換え練習から始め、比喩・抽象表現の言い換えに慣れたうえで、90字以上の条件付き記述に進むのがおすすめです。
Q. 自分の答案が何点くらいか、自分で判断する方法はありますか?
A. 模範解答と見比べるだけでは限界があります。比喩のずれや条件の抜けは答案の見た目では分からないため、第三者に添削してもらうことをおすすめします。
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